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「佛立魂」〜脳挫傷からの奇跡の回復〜

長松清潤


(写真は事故直後の日爽上人)  

怪我直後の御住職 平成5年4月3日。本門佛立宗 横浜妙深寺で大変な事件が起きました。
 当時の妙深寺御住職である長松清涼師が不慮の事故で6メートルの高さから転落し、瀕死の怪我を負われたのです。

 これは、妙深寺に所属する大勢のご信者の前で起きた惨劇でした。

 転落された御住職は、耳や口から血を流して手の施しようがありませんでした。
 到着した救急員の方も病院まで御住職の命が持つか保証出来ないと語っていました。
医師の診断は「頭蓋骨骨折、脳挫傷、頭蓋底骨折、硬膜下血腫、右肋骨骨折、外傷性気胸」という凄まじいもの。CTスキャンに映し出された映像は、私たちの想像を絶するものでした。
 後頭部の頭蓋骨部分は平らに砕け、その内側の脳である後頭葉の部分も衝撃を受けて平坦になっています。その反対の部分である前頭葉も衝撃の反動で損傷を受け、やはり平坦(約5ミリほど)になっていました。また、頭蓋底は粉々に砕け、脳幹の近くにも障害があり手の施しようがないとのこと。そして、これから数時間の間に脳は腫れ、さらに脳の損傷はひどくなるということでした。
 CTスキャンを見る限り、御住職の頭の中は血で溢れていました。血の白い影が、頭の中心からクモの巣のように広がり、真っ白な模様をつけています。また、右肋骨は肺に突き刺さりピンポン玉のように縮んでいます。
 脳挫傷とは、強い衝撃によって脳の組織が破壊されることをいいます。まして、脳幹は生命維持に重要な自律機能を調節する部位があり、心拍や血圧を調節する循環機能、呼吸のリズムを形成する呼吸中枢、嘔吐反射を起こす嘔吐中枢、さらに排尿中枢もここにあります。また、運動神経の核も、この脳幹にあるといわれています。この脳幹への障害は、手術すらも不可能にしてしまいました。

 絶対絶命の境地でした。元の優しい父には戻らないのだと思うと泣けて泣けて仕方がありませんでした。
 しかし、ご信者さんの目の前でこのような事態が起きたのには、何らかの意味があるはずです。本門佛立宗では、常々「必然」を教えてくだされています。私には、御住職のこの怪我は、佛立宗のご信心が正しいということを証明するために起こったのだと感じられました。御住職の身体をお借りして、佛立宗のご信心や私たちの信心前が試されているのだと感じられたのです。
妙深寺でのお助行風景 信徒の前で起きた事故。私たちの唱える御題目しか救うことのできない状態。これはまさに佛立宗の教義の正当性を示すために起きた事故です。ここで御住職が助からなかったら、佛立宗の教えで説く「妙とは蘇生の義」「妙とは不可思議の義」という教えが絵空事になってしまいます。私たちは教えられた通りに御題目を唱え続けました。

 この誰も手の施しようがない状態。医師すらも手を持て余す状況。私たちは一心に御題目を唱えたのです。妙深寺の本堂では、連日昼夜を分かたずにご信者さんが参詣し、御住職のために御題目をお唱えくださいました。観念論や耳障りの良い説教など、この時ばかりは意味がありませんでした。いつもの教えを実証する「現証の御利益」を頂きたかったのです。


看病をする寿美江奥様 眼球を上に向けて白目をむき、耳や鼻から透明な液体を流し、人工呼吸器を口に入れられた御住職の傍らで、私たちは御題目を唱え続けました。また、お数珠で身体をさすり、御仏にお供えした佛立宗ならではの魔法の水「御供水」で頭を湿らせながら24時間の看病をしました。
 他人から見れば、この病室の中は異様な状況だったと思います。皆が口々に御題目を唱えていました。
 この間の心の葛藤は言葉にし難いものです。尊敬する御住職、愛する父。もう二度と話すことも、笑うこともできないのではないかと思うと、家族一同涙が溢れて仕方がありませんでした。
 この時の御住職の姿を見て、誰が助かると断言できたでしょう。写真を見て頂ければ分かります。私たちは、この御住職の姿に向かって御題目を唱え、助かることだけを信じて看病に当たっていたのです。

 宗教は人を救うことを目的にしています。しかし、多くの宗教者は口ばかりで教義を説いたり、人の痛みを考えることなく冷たい運命論を説きます。佛立宗の信心は、そのようなものではありません。人生に起こりうる辛い状況を御題目で克服して生きていることに喜びを感じられるようになるのが佛立宗のご信心です。佛立宗の基本は、このことを実感している人が集うことでしょう。多くの宗教者は、プロの宗教者になってしいます。しかし、佛立宗は全員が「信者たれ」とお教えいただいているのです。素晴らしいことだと思います。
 この心の痛みを察し、どれだけ多くの御導師やご信者が暖かい言葉をかけてくださったか。本当にありがとうございました。

 御住職が、身を以てこの状況を与えて下さり、母をはじめすべての家族、お弟子様方やご信者方がこの状況を克服しようと御題目を共に唱えてくだされていたのです。悲しみを共有し口先や宣伝だけのご信心ではないのだと心から実感しました。教務として御法門を説く身ですが、この時はじめて本当にご信心の有り難さを知りました。
 御題目がなければ私たちは挫折していたでしょう。諦めていたかもしれません。
 しかし、御題目があればこそ、このご信心があればこそ、私たちは希望を胸に病室にいることが出来ました。また、連日お寺でご祈願をしてくだされたご信者方のお慈悲があればこそ耐えることができたのです。

 そして奇跡は本当に現れるものです。この妙法の御題目は、信じて唱えれば必ず御利益を頂くのです。やはり御法門で教えていただく通りです。
 それは49日目の朝のことでした。4月3日の事故発生以来、49日目の5月21日のことでした。
 御住職は、東京と横浜を揺るがした震度4の地震と共に目を醒まされたのです。嘘のように思うかもしれませんが、決して嘘ではありません。病院の記録でも、新聞でも、何を調べていただいても構いません。私たちの御住職は、地震のあったその朝、突然意識を取り戻され、私たちの問いに返事をして下されたのです。
 言葉は喋れませんでした。しかし、反応もしなかった御住職が私たちの呼びかけに答えて下されたのです。
「分かる?僕だよ、、」
という問いに対して頷いてくれる父。
「ありがとう」
という合図を合掌で表される御住職。この喜び、この素晴らしい現証の御利益を私たちはどれほど待ち望んだことか。

目覚めてしばらくして そして御住職は、献身的に看病をしてくだされた妙深寺のご信者瓜生婦長にも合掌をされ、「ありがとう」という意志を表されました。病室にいる全員が、この喜びに涙を抑えられませんでした。母がどれだけ喜んだことか。母はグチャグチャに泣いておりました。
 これを奇跡といわずに何を奇跡というのでしょう。

 詳しくは、看病を続けた私たち家族や親族、お医者さまや瓜生看護婦長の手記を載せた「佛立魂」という本を読んで頂ければ分かります。是非とも読んで頂きたいと思います。
 本門佛立宗の教えは、真実不変の教えです。そのことを証明するのがこの事故であったと思います。
 御題目で救われることを、身を挺して示してくだされた御住職なのです。その後、リハビリもありましたし、御住職自身の大変な努力もありました。しかし、考えられない現証の御利益であることに変わりはありません。
 カルテを見て誰が想像出来たでしょう。御住職は「多臓器不全」まで併発されていたのです。多くの医師を含め、担当の医師までが、この御住職の回復に驚いています。救急病院にお礼に行ったときは、当時の看護婦さん達がナースステーションから飛び出して、
回復して初めて本堂でご挨拶をする御住職「あぁ、立ってる!歩いている!」
と驚愕してくだされたほどでした。
 ある人は、
「ご家族の愛ですね」
と言って下さいます。しかし、私たちは知っています。これこそ私たちのご信心、御題目の御力であり、現証の御利益なのです。
 一分の後遺症もなく車を運転し、御法門を説かれご奉公されている当時の御住職を見れば、事故直後のことなど夢のように思われます。しかし、これは現実のお話です。

 簡単に割愛してお話ししましたが、御住職のご許可を頂いて写真を掲載いたしましたので、ショッキングなものではありますが、どのような方にでもこの最悪の状況と現証の御利益がいかに素晴らしいか分かっていただけると思います。

 佛立宗の魂、現証の御利益は、平成の一大御利益がよく示してくだされています。本当に素晴らしく、尊いご信心です。何の説明もいりません。自分で進んで御題目のご信心をさせていただきましょう。愚かな宗教や宗教者が乱立する世の中で、本当に私たちを救ってくださるのはこの信仰しかないのです。私は、佛立の一信者としても、また教務としても、このことを声を大にしてお伝えしたいだけです。

 ありがとうございました。

すっかりよくなった御住職を囲んで


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