なぜ御本尊に向かって祈らなければならないのですか?

 ブッダ(仏)の魂はこの空間に遍在していると仏典には説かれています。では、なぜ御本尊に向かって祈る必要があるのでしょうか。見えないけれど空間に満ちている仏の魂に向かって祈ってはいけないのでしょうか?

 それは、たとえば、テレビ局から送り出される電波は、この空間に満ち満ちていますね。ところが、私たちはアンテナや受像機なしにそれを映像化・音声化して家庭で楽しむことはできません。それと同じで、仏さまから送られてくる慈悲、ご利益という電波は、御本尊という受信機・受像機を通さなくては私たちのところへは届かないのです。

 その御本尊という受信機も、性能の良いもの、つまり仏や菩薩の魂の宿るような正しい御本尊でなくてはなりません。

 しかし、どんなに正しい御本尊でも、その近くに他の写真や絵など、口唱するあなたの気を散らすようなものがあれば、それはテレビの画面が乱れたり雑音が入ったりして番組を楽しむことはできないのと同じで、あなたが御本尊に向かって祈っていたつもりでも、気の入らない口唱となり、あなたの願いは御本尊に正しく届きませんから、仏さまとの間に感応は起こらず、ご利益は受信できないのです。