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自殺した女性の霊が自分の中に…。
家庭崩壊寸前にご信心と出会い─── (3)



今はこうして生きているだけでもありがたいです

妻 内田奈歩さん

 妻の立場で、側面から見た一部始終をお話しさせていただきます。

 去年の冬、生後五ヶ月の下の子の夜泣きと、二人の子共が交互に風邪を繰り返すようになりました。主人はひどい頭痛で「もうすぐ頭の血管が切れて死ぬ」と言い、両腕のかゆみと仕事のストレスで常にイライラし、夕飯時のお酒の量が日増しに増えて、食欲はなく睡眠も減り、痩せていきました。

 春になっても主人は風邪をこじらせ、上の子は中耳炎、下の子も夜泣きがひどくなり、状況は悪くなる一方でした。主人は以前はとても子煩悩でしたが、子供と出かけても座って塞ぎむようになり、人が変わってしまったと思っていました。

 七月中旬、主人のご両親のお店の手伝いを頼まれましたが、主人は疲れてるからと家で休んでいました。私が家に帰ると、扇風機のコードを首に巻いて倒れている主人を見つけました。一瞬何が起こったか分からず、慌ててコードをはずし、主人の呼吸を確認してゆすり起こし、もうろうとしている主人に激怒しました。

 七月三十日就寝時、主人が私に「幸せそうね」と言いました。まるで女性のようで「自分は真っ暗な所に一人で寂しくて苦しい、明宏も今すごく苦しそうだよ、私が苦しみから開放してあげる。明宏を私にちょうだい」と訴えました。明らかに主人とは違う口調に戸惑い、名前を聞くと「ナミ」と言いました。翌朝主人にそのことを話すと、全く覚えていませんでした。

 その夜、主人に「お祓いに行こう」と言いました。するとまた主人とは違う声で「お祓いはダメよ」と言われました。「お祓いの効果は一時的に過ぎない。すぐにもとに戻る。無理やり引き剥がされるのはとても苦しく、戻るのが分かっててそんな苦しい思いは嫌だ。仮に自分が戻らなくても、魂は霊的に穴が空いた状態だからすぐに他の霊が入るし、自分も成仏できるわけではない」と言うのです。「お祓いをしたら子供たちを主人の手で殺す」と言われ、私は絶句しました。

 彼女は私に自分のことをこう語りました。「一年前、二十三歳の誕生日に当時交際していた男性に捨てられて自暴自棄になり、他の霊に誘われて自殺した。自分を誘った霊は自分が死んで上の世界に行けたから、自分も明宏を殺せば上の世界に行ける。私は小さい頃両親に虐待を受けて育ち、家を出て働いて一人暮らしをしていた。横浜の無縁墓地に入っていて、誰も来てくれず、水もくれない。誰も信じられない。真っ暗な所に一人で寂しくて苦しくて、のどが渇く…」と。主人が異常に水分を取る理由が分かりましたが、彼女は苗字と墓地の詳しい場所は教えてくれませんでした。

 彼女は両腕で電気コードの所まで這っていき、コードを首に巻こうとするのを私が止めると、首を掻きむしってもがき苦しみ、全身がけいれんして気絶し、主人の意識が戻ってくる、というのを一日に何度も繰り返すので、主人から目が離せなくなりました。

 八月三日、そんな状態でも主人は仕事に出かけましたが、帰り道、主人から「彼女の力がすごく強くて引っ張られる、なんとか説得して必ず生きて子供たちのところに帰るから信じて待っていてほしい」というメールが来ました。それから主人が帰ってくるまで六時間、とても長い時間でした。主人のバックには彼女に買わされたという太いロープが入っていました。その夜、彼女は「もうちょっとだったのに…」と悔しそうに私に言いました。

 私は家に主人のお札だけないことに気づき、彼女に「お札をもらうだけ」と了承を得て、翌日千葉神社に行きました。神社に着くと正直心が揺れました。「このまま家族みんなで神前に行けば除霊できるのでは…」しかし、私の中で、「誰も信じることができない彼女はとても可愛そう。私が今彼女を裏切ったらダメだ」という気持ちが勝ち、お札だけもらって帰ってきました。お祓いをしなかったことに彼女は驚いていましたが、少し打ち解けた雰囲気で話ができるようになり、私は彼女に「お祓いはしない」と約束をしました。そのかわり、私たち親子が生活するために主人の体から出て欲しいとお願いしました。

 八月五日は下の子の一歳の誕生日でした。とてもお祝いをする状況ではありませんでしたが、生まれてはじめての誕生日なので家族四人でささやかなお祝いをすることにしました。ロウソクに火をつけると、主人は「今彼女は中にいない…、すごく頭もすっきりしてる…」と言い、自分が自分であることに泣いていました。彼女は私との約束を実行してくれたのでした。ほんの二時間程度でしたが、私たちはとても楽しい時間をすごしました。彼女が主人の体に戻ったとき、なぜ戻ったのか尋ねると、「一度入った体から抜けることはとても苦しく、頑張って出ても、気を抜くとすぐに元に戻ってしまう」と教えてくれました。私は彼女が努力してくれたことに対しお礼を言い、「少しずつ抜ける時間が長くなるように一緒に頑張ろう」と言いました。それから彼女は、「上に行く光が見えたら一人で行く」と言い、自殺行為をやめ、主人が治る方法を教えてくれました。それは、主人の怒り・悲しみ・憎しみ・不満や不安、そういう要素を全て取り除くことだというのです。その悪い感情は自分のような浮かばれない霊魂を引きつけ、霊魂の悪い気持ちを大きくすると言いました。そうは言われても、そんなことは人間が生きている限り不可能だと思いました。

 彼女は、始めは主人にマイナスの感情が起こると現れていましたが、二、三日もするときっかけもなく頻繁に現れるようになり、普通に私や子供たちと話をしました。けれど、話の後は必ず首を掻きむしって苦しみ、全身がけいれんしたようになります。私が家事の合間にそうなると、上の娘が「パパが苦しいになってるよ」と私を呼びに来ます。私は掻きむしる手を必死に押さえ、のどの奥が持ち上がって呼吸が止まるので、主人の口に手をいれて「首には何もないから息をして」と言い聞かせました。娘も「パパ息をして!」と主人に向かって叫びます。上の娘はその年の春に幼稚園に入り、楽しみにしていた最初の夏休みだったので、とてもかわいそうでしたが、主人は子供たちを心の支えにしていたので、私は自分に「私がしっかりしていれば大丈夫だ」と言い聞かせ、子共たちと限界まで頑張る決意をしました。

 主人が会社に行っている間、私はインターネットで「自殺した人の霊」「この世をさまよう霊」「憑依」「霊能者」など調べました。そういった関係のホームページは無数にあり「自殺した人の霊はこの世をさまよった後、自殺者の世界という所に行く、そこはこの世をさまよう以上に苦しい所」とありましたが、どこにも霊魂を上の世界に送る方法は載っていませんでした。

 八月六日、ある霊能者のホームページを見つけ、電話をしてどうすれば良いのかを尋ねました。その霊能者は主人と電話で話がしたいというので、私は話だけなら大丈夫だろうと思って主人に電話を渡そうとしたら、「勝手に行動した」と彼女が激怒し、苦しみだしたので、私は電話を切りました。後日その霊能者からメールがきました。その内容は「彼女を一つ次の世界である自殺者の世界に送ることはできるが、そこは現世よりも苦しい所で、その世界でも恨みの念は持ち続け、この世の人がその念によりやっかいなことになる。そうすると彼女の霊魂を焼きはらい抹消するしかない」というものでした。私は苦しみ続ける彼女を見てきて、これ以上彼女を苦しめるようなことはしたくないし、まして彼女の魂を焼きはらうなんて残酷なことは絶対にできないと思い、その霊能者と連絡をとるのはやめました。

 お盆の時期になると、他の霊が主人を連れて行こうとするのを彼女に守ってもらうようになり、彼女がいてもいなくても困る現実に、もう逃げ出したくなりました。

 そんな頃、藤井ご夫妻からお寺のお坊さんとお話だけでもとお声をかけてもらいました。彼女を怒らせてしまうのでは、と迷いましたが、何も打つ手がない状態でしたし、私も主人のご両親の精神状態も限界に来ていたので、お寺に行く決意をし、その日から彼女を説得しました。

 お寺に行くとすぐにお供水を勧められました。主人も飲みましたが、すぐに具合が悪くなり、立っていられず、目を白黒させて意識がもうろうとしていました。それからお講師とはじめてお会いして話を聞いてもらいました。お講師に「守護霊とか、お札とかではなく、もっと大きな力に守ってもらいなさい」と言われましたが、そのときは何をどうすれば、何に守ってもらうのか全く分かりませんでした。お講師に、「人を信じられない霊が本当のことを語るとは思えない。《奈美》と語る女性は、主人とは全くの見ず知らずではなく、今までに明宏さんにご縁のあった誰かではありませんか?」と言われました。

 早速御本尊を奉安していただき、お看経が始まると、すぐに主人の意識が飛び、首を掻きむしってもだえ苦しみだし、二時間のお看経が終わりました。するとその日から下の子の夜泣きがなくなり、私はぐっすり眠れました。

 その夜、彼女は御本尊を眺めて、「もう長い時間意識の表面には出ていられない」と言いました。それが私が彼女と交わした最後の言葉です。神社でもらったお札が全く効かなかったのに、この御本尊はすごい、と思いました。同時にお供水の効果にも驚きました。

 翌日からの朝参詣と詰め助行により、彼女は自分の正体を明かして主人の体から出ていき、主人は自分を取り戻しました。本当に奇跡だと、御法さまの偉大な力を実感いたしました。

 結局その子は、「奈美」という、主人とは高校の同級生。二十年前の高二の春、病気の母親の看病と家事の生活に疲れ、電車に飛び込み自殺をした女の子でした。

 詰め助行が終わっても、私たちの感情は不安定で、何かあるたびにお講師に来ていただき、お折伏をいただきました。本当に言葉では表せないほど感謝しています。

 去年の出来事で生活が一変しました。朝参詣、家でのお看経、お総講、お講と分からないことばかりでしたが、とにかく必死でした。

 主人共々百本祈願をやり遂げてしばらくして、本堂でお看経をあげていると「奈美ちゃんは大丈夫」という思いが湧いてきて涙があふれてきました。今彼女がどこでどうしているのか私には分かりませんが、御題目さまが一緒にいてくださると思い、今でもご回向し続けています。

 さらに本堂でお看経をあげていると、無性に「家に御戒壇がほしい」と思ったので、家の御宝前で「御戒壇が持てますように」と一心にお看経を上げていると、御本尊の文字がお祖師さまの形になって浮かび上がって見え、さらにお看経を上げると、後ろにたくさんの崇高な方々がいるように見えました。「この御本尊で間違いない」というお講師のお言葉が甦り、本当に感動しました。「文字であって、文字ではない」という意味と、「お看経に魂を込める」ということが分かった気がしました。それから御題目口唱が楽しく感じられるようになりました。

 主人は入信してから本当に変わり、御法さまに守られているという絶対的な安心感から精神的に強くなり、私は心にゆとりが持てるようになり、お寺参詣する分、忙しくなるはずが、かえって穏やかな生活を送れるようになりました。

 一家心中を考えた半年前を思えば、私たち家族がこうして生きているだけでも本当にありがたいことだと思っております。その上、この冬は去年とは正反対にみんな元気で風邪もひかず、主人の仕事も、一番苦しんでいた人間関係が良くなり、家族が安穏に過ごせる日々に加え、様々な御利益を頂いております。本当にありがたい思いで一杯で、御題目口唱に気張らせていただく毎日です。

 病院、神社、厄払いの寺院、霊能者、霊媒師とあれこれ探しましたが、どれも多額のお金がかかる上にやってみないとわからないというものばかりでした。しかし、詰め助行のとき、お講師に「私の力ではないのでお金は受け取れません」と言われ、そのときは理解できませんでしたが、本門佛立宗は、人の力ではなく、御題目さまの力だ、という大きな違いを教えていただきました。

 それとこのご信心は、その一つの問題を解決するだけでなく、自分が御題目を唱えることで御法さまに、不幸の根本原因の「罪障」を消滅してもらって、これから起こるはずの不幸も変えてもらえる、本当にありがたいご信心だと思いました。

 私たちが生きているうちに本門佛立宗のご信心にお会いできたことはとてもありがたいことだと思っております。最近は、自殺、殺人、誘拐、原因不明の病など、不可解な出来事が多くなりましたが、その人や家族がこのご信心にお出会いできるよう、ご弘通を願ってやみません。お導師さま、お講師、藤井ご夫妻をはじめ、唱題寺の皆さまに心より感謝し、少しでもご恩返しができるよう、ご奉公させていただきたいと思っています。ありがとうございました。